めまい
めまいの原因
- 耳石がはがれる良性頭位発作性めまい症、内耳にリンパ液がたまるメニエール病。
- 体のバランスを調節する前庭神経の障害による前庭神経症などの耳鼻科的な原因。
- 脳出血、脳梗塞、高血圧、低血圧、血圧の調節障害、貧血、不整脈などの内科的な原因。
- 更年期障害、うつ病などの心因性の原因。頸椎の異常により脳に行く血流障害が原因等
めまいの症状
まためまいの症状には以下のような様々なタイプがあります。
回転性めまい
(ぐるぐる目が回る)
・自分自身がぐるぐる回っている感じ。
・周囲がぐるぐる回っているように見える。
浮動性めまい
(ふわふわふらつく)
・フワフワと体が浮いているように感じる。
・まっすぐ歩けない。
・姿勢を保つのが難しい。
動揺性めまい
(立ちくらみのようなめまい)
・グラグラと体や頭が揺れているように感じる。
・目の前が暗くなる。
代表的なめまいに「良性発作性頭位めまい」「メニエール病」などがあります。
最近では過労やストレスに起因するものも増えています。
まずは検査、問診で何が原因か診断し、適切な治療を行います。
手足が動かしにくい、しびれ感、しゃべりにくい、頭痛、嘔吐があれば脳梗塞、出血を疑い救急受診が必要です。
代表的な疾患
めまいを起こす代表的な疾患
良性発作性頭位めまい症
症状
最も発症数が多いめまいの代表的な病気です。じっとしている時は起こらず、特定の頭の位置や頭を動すこと(寝返り、起床時、上を向いた時など)に誘発する回転性のめまいです。
めまいは数秒から数十秒でおさまり、メニエール病のように難聴や耳鳴といった聴覚のトラブルは伴いませんが、何度も繰り返し起こることが特徴です。
原因
内耳には、三半規管の根本のあたりに重力や体の方向を感知する「耳石器」という器官があります。
この中には耳石(カルシウムの小さな粒)と呼ばれる石のようなものがあり、それがはがれて、三半規管に入り込むことで発症します。
治療
内耳の機能を回復させる薬、めまいを抑える薬を処方します。
めまいを起こす姿勢を繰り返していると次第にめまい発作が起きなくなるという慣れが生じます。
めまいを起こす姿勢を繰り返し慣れていく運動療法があります。
浮遊した耳石を元の位置に戻す運動療法もあります。
メニエール病
症状
片側の耳鳴り、難聴、耳閉感、10分以上持続する回転性めまいなどの症状が出ます。
初期の段階ではめまいがない場合も多くあります。
音がゆがんだり、響いて聞こえる場合があります。
良くなったり、悪くなったり発作を繰り返す場合が多いです。
発作の周期や症状の程度は個人差が大きいです。
原因
どのようなメカニズムで内リンパ水腫が生じるのか明確に解明されていません。
現在のところ、内耳構造の生まれつきの異常やアレルギー、免疫の異常、内耳への血流不足などが要因として挙げられており、いくつかの要因が重なって発症するとも考えられています。
またストレスや疲れがたまった時に再発を繰り返しやすいため、自律神経のバランスの乱れも何らかの関係があるとの説もあります。
治療
内耳の血の流れを良くするお薬、内耳の神経を元気にするお薬、ビタミン剤などが処方されます。
日常生活の注意
心身を安静して疲労、ストレスを取り除く事が必要です。
水分を十分に取る。有酸素運動を積極的にすることも大切です。
暴飲暴食をやめて、カフェインレスの過剰摂取も避けてください。
体を急に動かしたり、大きな音を聞いたりすると発作が出やすくなります。
突発性難聴
症状
突然、左右の耳の一方(ごくまれに両方)の聞こえが悪くなる疾患です。幅広い年代で起こりますが、特に働き盛り40~60歳代に多く見られます。
聞こえにくさは人によって異なり、聴力が改善したり、悪化したりを繰り返すといった症状の波はありません。
また、難聴の発生と前後して、耳閉感(耳が詰まった感じ)や耳鳴り、めまい、吐き気などを伴うケースもあります。
難聴やめまいが起こるのは一度だけで、メニエール病のように繰り返すことはありません。
発症後にすぐ治療を開始しないと、難聴や頑固な耳鳴りが残ったり、聴力を失うこともあるため、早めの受診と治療開始が大切です。
原因
音を感じ取って脳に伝える役割をしている有毛細胞が、何らかの原因で傷つき、壊れてしまうことで起こります。
有毛細胞に血液を送っている血管の血流障害や、ウィルス感染が原因と考えられますが、まだ明らかになっていません。
ストレスや過労、睡眠不足などがあると起こりやすいことは知られています。また、糖尿病が影響しているともいわれています。
日常生活の注意
ストレス、過労、睡眠不足を避けて、心身の休息を心がける、大きい音を聞かない。
めまいの検査
聴力検査
内耳疾患によるめまいの場合には、大切な検査です。
シェロングテスト
自律神経機能の検査方法で、寝た状態と起立した状態で、血圧と脈拍の測定を行います。
眼振検査
眼振とは、めまいの際に見られる、自分の意思とは無関係な目の律動的な動きのことで、めまい診療において非常に重要な検査です。特殊なゴーグルの器具をつけて、赤外線CCDカメラにて眼振の有無を調べます。眼振検査によってめまいの原因部位や疾患を絞り込むことが可能になります。
必要に応じて、血液検査、CT、MRIも考慮します。
めまいの治療
薬物治療
症状を緩和する薬として次のようなものがあります。
抗めまい薬、内耳循環改善薬
主に脳や内耳の血流を増やすことによって、めまいを改善します。
吐き気止め
めまいに伴う吐き気や嘔吐を抑えます。
抗不安薬
めまいに対する不安を取り除きます。
ステロイド薬
神経の炎症やめまいに伴う難聴を改善します。
ビタミン薬
神経の働きを正常に保つビタミンによって、障害を受けた神経を修復します。
めまいのリハビリ
症状の強い時期には、安静が第一となりますが、ある程度治まってきたら、積極的に頭と体を動かすリハビリ体操を行うことが重要です。内耳に作用する「寝返り運動」や小脳を鍛える「頭を動かす運動」や「歩行運動」を行います。特に良性発作性頭位めまい症では寝返り運動を繰り返し行ってください。
よくいただくご質問
A:以下の方法をお試しください。
1.安静・水分摂取
めまいの種類にかかわらず、まず安静にしてください。立っていると転倒する可能性があるので、座るか、またできるならが横になってください。頭の位置を低くすることが大切です。
脱水を原因としてめまいが起こることもありますので、適量の水分を摂取してください。
2.目・耳に入る刺激を避ける
部屋を暗くしたり、電気を消すなどして、目に入る光、耳に入る音を出来るだけ避けてください。
3.医療機関を受診する。
1.2を実践してもめまいが続く、一度治まったものの頻繁にめまいが繰り返される場合には、
医療機関を受診してください。
A:めまいだけでなく、ひどい頭痛がある、特に左右どちらかの手足がしびれる、あるいは動かしにくい、意識がぼんやりする、物が二重に見える、言葉が話しにくいなどの、症状がある場合は、脳梗塞など脳の病気によるめまいも考えられます。このような場合は、様子をみていないで、すぐに救急車を呼んでください。
A:めまいは内耳など耳の病気によるものが多いと言えます。
手足のしびれ、動かしにくい、物が二重に見える、言葉が話しにくい、意識がおかしい、激しい頭痛、などの症状がある場合は、脳の病気を疑う必要がありますので、すぐに脳神経外科に受診(必要に応じて救急車で)することをお勧めします。
上記のような脳の病気を疑う症状がない場合、特にめまいに加えて、難聴、耳鳴り、耳閉感などの耳の症状を伴う場合は、耳鼻科を受診するのが良いと思われます。
もちろん、脳に異常がないかチェックするために、最初に脳神経外科を受診するのも間違いではありません。
季節性のめまい、というのは原則としてありませんが、就職や入学など、周りの環境が変わると起こることも考えられます。もしご心配になられるようであれば、一度医療機関を受診してください。
A:脳に原因がありそうな場合は、迷わず救急車を呼んですぐに医療機関を受診して下さい。
それ以外の場合は、めまいが少し落ち着いた時点で受診して下さい。めまいが消失してしばらく経過してしまうと、種々の検査で所見が出なくなってしまうことがあります。
A:耳、とくに内耳の異常によるめまいが多いと言えます。
しかし、それ以外には、脳梗塞など脳の病気によるもの、血圧の異常、貧血など内科疾患に伴うもの、自律神経の異常によるもの、更年期などホルモンバランスの異常によるもの、また、飲んでいる薬(降圧剤や精神安定剤、総合風邪薬など)によるもの、など多くの原因があり得ます。
原因がこれらの単独ではなく、いくつかの要因が重なっている場合も考えられます。
A:耳の病気で最も多いのは良性発作性頭位性めまいです。
この病気は三半規管の中を耳石が動くために起きると言われています。
めまいを起こしやすい頭の位置があり、ジッとしていると長くても数分以内にめまいは軽快します。しかし、また同じ頭の位置をとるとめまい発作が起きるのが特徴です。難聴や耳鳴りなどの症状は伴いません。
メニエール病はよく聞く病気です。この場合のめまいは激しい回転性のめまいが比較的長く(数時間など)続きます。めまいと同時に難聴や耳の詰まった感じ、耳鳴りなどの耳の症状を伴います。また、めまい発作を反復するのも特徴です。
これ以外には前庭神経炎や突発性難聴、外リンパ漏に伴うめまいをあります。また、真珠腫など中耳の病気に伴ってめまいが起きることもあります。
A:めまいが起こった時の状況やめまい以外の症状の有無、病気の既往歴などを伝えましょう。
具合的には以下の内容です。
めまいがどのような時に起きたのか
朝目覚めた時、寝返りをうった時、物を持ち上げようとした時、頭を動かした時など出来るだけ具体的にお話しください。
どのくらい持続したのか
ジッとしていると一旦おさまって、その後動くとまためまいが起こっていたのが、起こらなくなったまでの全体の時間ではなく、ジッとしていると一旦落ち着くまでの時間を教えて下さい。
一瞬、数分、あるいはジッとしていても数時間以上持続した、など。
めまい以外の症状があるのか
耳鳴り(高い音、低い音なども含めて)、耳が詰まった感じ、聞こえにくい、など耳の症状。また、物が二重に見える、物が見にくい、舌がもつれる、手足や顔面の感覚がおかしい、など。
高血圧や糖尿病、などの基礎疾患の有無。
また、現在他の疾患で内服している薬の有無、できれば薬の名前。
(内服薬がある場合は、必ずお薬手帳をご持参ください。)